ご挨拶
2009年に前身となる池下レディースクリニック吉祥寺が開院してから16年目を迎えました。2015年に現在の場所に移転し、さらに2022年7月に現在の「花みずきウィメンズクリニック吉祥寺」に名称を改め今日に至っております。この間20,000人以上の多摩地区、23区西部、埼玉南部の方々に御来院頂いており、皆様に支えられてここまで続けられてきたことに感謝申し上げます。
当院は体外受精・顕微授精はもちろん、着床前診断、卵子凍結などの生殖補助医療を実施する日本産科婦人科学会登録施設となっており、顕微授精におけるpiezo法、レーザーアシステッドハッチング、タイムラプスインキュベーター、PGT-A/PGT-SRなど、培養室スタッフとともに最新の技術を導入して参りました。
皆様ご承知のように、2022年4月から生殖補助医療本体が保険診療となり、保険適応とならなかったいくつかの手技や検査も先進医療という形で自費ながら保険診療と併用することが可能となりました。さらに、現時点では東京都にお住まいの方は、先進医療に対する都の助成金制度があり、以前と比べると経済的な面で多くの患者様にアクセスしやすい治療になってきたのではないかと思います。
さらに、都では将来の妊娠に備えて、女性やカップルが自身の健康や生活に向きあうための「プレコンセプションケア」、より妊孕性(にんようせい)が高い年齢の未受精卵を保管する「社会的な卵子凍結」に対する助成金事業も始まり、多くの未婚女性やカップルの関心を集めています。
この間にも少子高齢化の進行に歯止めはかからず、2024年の国内の出生数は70万人を下回り、相対的に不妊治療を経て出産に至る方の比率が増しており、今や全国で生まれるお子さんの10人中ひとりが生殖補助医療を経て生まれているとされています。おそらく都内ではこの比率はさらに高いものと推定されます。
しかしながら、卵子凍結を含めて生殖補助医療が即少子高齢化を解決するわけではありません。結婚し、こどもを産み育てることに若者が前向きになれるような社会でなければ解決しない問題です。多くの女性は男性と同様に働きながら、妊娠・出産・育児・介護など様々な役割を求められる場面があり、「全て押し付けられても無理」という悲鳴が聞こえてきそうです。一昔前より家庭における男性の役割分担が進んできていることと思いますが、個人が押し潰されないように、社会全体で支えていく必要があるのはいうまでもありません。
クリニックとしては不妊治療に特化したほうが効率はよいのかもしれませんが、当院では時間帯に制限を設けさせて頂きながら婦人科診療も続けて参りました。不妊治療に携わっているからこそ、妊娠を希望するまでの期間に妊孕性(妊娠しやすさ)を損なわないためのヘルスケアを継続することの大切さを痛感しているからです。
たとえば、月経困難症の原因のひとつである子宮内膜症は、不妊症との関連が高い疾患です。子宮内膜症がある方は、将来の妊娠を見据えた薬物治療やライフプランが必要になります。不妊治療を卒業したあとも、月経困難症のケア、卵巣癌などの悪性疾患の早期発見のためのフォローアップが継続する場合もあります。何より、不妊治療中に悪性疾患を見逃してはなりません。
不定期に受診が必要となる不妊治療中も仕事を継続していただけるよう、土日や夕方の時間帯は不妊治療の方を優先した予約枠になっています。
ただし、採卵術は午前中に限らせて頂いております。どんなに細心の注意を払うとしても、侵襲のある治療は一定のリスクを伴うことを忘れず、他施設にも十分なマンパワーがある日中に行います。患者様の利便性に寄り添う一方で、安全性の担保は譲れないと考えております。
ハナミズキの花言葉は「永続性」です。
末永く、多くの女性の健康と新たな生命の誕生に貢献できますよう、スタッフ一同努めて参ります。
2025年5月
花みずきウィメンズクリニック吉祥寺
院長 矢野 直美
院長経歴

1985年
女子学院高等学校 卒業
1991年
東京大学医学部医学科 卒業
1998年
東京大学医学部医学科大学院 卒業
東京大学医学部附属病院、公立昭和病院、武蔵野赤十字病院等にて産婦人科診療、不妊症治療に従事。池下レディースクリニック広小路副院長を経て、2009年、現クリニックの前身である池下レディースクリニック吉祥寺院長に就任。2022年7月より花みずきウィメンズクリニック吉祥寺にクリニック名を改称。
医学博士
産婦人科専門医
生殖医療専門医
女性ヘルスケア専門医
母体保護法指定医
所属学会
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本受精着床学会
日本女性医学会