生殖補助医療のアドオン(add on) 
〜いわゆるオプション治療としての先進医療について

先進医療と聞くと、開発されたばかりの最新の治療と思われると思います。
日本の保険医療における「先進医療」の位置付けは「公的医療保険が適用されないが、一般の保険診療との併用が認められている治療やその他療養」です。公的医療保険の対象にするか評価する段階にあるもので、数年後に公的保険の対象となるか、終了となるかが決まります。

生殖補助医療が自費診療から保険適用の治療に採用された際に保険適用とならなかった様々ないわゆるadd on治療が先進医療として認められました。最新というわけでもなく20年近く前から試験的に行われていて、海外の生殖医療の関連の学会では有効かどうかのエビデンスレベルが低い判定になっているものもいくつか採用されました。

現在生殖医療関連で先進医療に採用されているものの多くを当院でも自費診療の一環で試験的に行っておりましたが、エビデンスレベルが低いものは先進医療として登録を見送っております。

当院では胚発生の過程の多くの情報をもたらしてくれるタイムラプス培養器、比較的新しい検査や技術でまだその有効性が検証中と思われる子宮内フローラ、ERA検査、PICSIを登録しております。今年度から顕微授精における精子選別に有用なIMSIも導入いました。

これらは将来保険適用となるものもあれば、不採用として先進医療も終了となるものもあろうかと思われます。
東京都では、生殖補助医療関連の助成金制度があります。治療費の70%に当たる助成金を申請できますので、都内在住の方は是非制度をご活用ください。

IMSIとは?

従来の顕微授精では、術者が400倍の倍率の顕微鏡下に、運動性が高く且つ形態が正常を思われる精子を選別し、卵に注入しています。しかし、精子頭部の微細な空砲の検出には1000倍以上の強拡大を要します。これらの精子頭部内の異常構造体は、精子DNA断片化、さらに受精卵の染色体構造異常や断片化の一因となり、着床不成功や流産に至る可能性が指摘されています。

最大倍率6000倍で精子を観察することにより、構造異常を有さない形態良好精子を選別して顕微授精を行うIMSI(intracytoplasmic morphologically selected sperm injection)により、顕微授精の臨床成績が向上することが期待されているのです。